問題解決実践事例

問題解決実践事例

中小企業経営者の場合

*会社のビジョン(目指す姿)を明確にして社員と共有した上で、ビジョン実現に向けた取組みを全社一丸となって展開した結果、大幅な売上高、利益の増加を達成した。

1 実施者

中小企業経営者

2 組織概要

自動車部品製造業(従業員数約80名)

3 テーマ

生産性向上による、さらなる利益確保

4 問題解決ステップ概要

■テーマ選定

経費削減だけでは限界があり、さらなる利益確保のための方策を追究した。

 

■現状把握

全社的な経営方針がなく、営業部、製造部、設計部がそれぞれ部門ごとに目標を設定していた。このため、自部門の目標達成に固執するあまり、部門間の摩擦が非常に大きく、生産能力不足、納期遅延、出図遅れ、などが日常化していた。

 

■目標設定

全体最適により、全社一丸となって生産性向上による、さらなる利益確保の実現を目指す。

 

■要因解析

各部門が協力して一つの目的に向かって全社一丸となって取り組むための仕組みがなかった。経営者として「企業のありたい姿」を描いた経営ビジョンが策定されていなかった。

 

■対策立案・対策実施・効果確認

日本品質管理学会規格「方針管理の指針」に基づいて、方針管理を導入。これにより各部門目標を達成すれば企業全体の経営計画を達成することができ、ビジョンの実現につながるという仕組みが構築できた。

併せて部門間のコミュニケーションを活性化し、働きやすい職場環境づくりにより従業員満足度の向上を目指す取り組みも実施した。

その結果、売上高、生産能力など多くの経営指標が大幅に改善された。また、従業員満足度および顧客満足度も向上した。

​■標準化と管理の定着

今後とも、方針管理の定着と働きやすい職場環境づくりに取り組み、生産性向上による、さらなる利益確保を追求していく。

出典)古谷健夫:『問題解決の実践』(日科技連出版社,2018年),表5.1

病院の医師の場合

*病院で働く関係者全員の知恵を集めて、誰もが守れる標準づくりに取り組んだことにより、医療事故の大幅な低減につながった。

1 実施者

医師

2 組織概要

病院

3 テーマ

手術部位感染(SSI)を減少させる *SSI:Surgical Site Infection

4 問題解決ステップ概要

■テーマ選定

手術部位感染(SSI)のモニタリングを行っているが、全国平均と比較しても高率で発生していた。中でも脊椎手術では、有意に多かったためテーマとして取り上げた。

■現状把握

過去の脊椎手術について、現場に問題がないか現状を調査した。その結果、手術室や病棟において決められているマニュアルを守っていない業務(手順)・作業が多くあることが判明した。

 

■目標設定

常に衛生管理を意識してSSI発生率を減少させる。そのために、現場の作業の標準を見直して再整備し、全員が確実に遵守する風土を作る。

■要因解析

病院内の関係者(医師、看護師など)全員が発生要因を出し合って特性要因図を作成。患者に安全な医療を提供することが最優先される、という意識の欠如が真因として浮かび上がった。

​■対策立案・対策実施・効果確認

全職員の意識を変えるために研修会、勉強会を開催。

現場作業の標準化を実施するとともに、全員が遵守できる内容を目指した。これによりSSIの発生率は大幅に低減できた。

​■標準化と管理の定着

「安全な医療を提供することが最優先」を全職員が共有し、病院の文化となるように努めていくことで、標準の定着を図る。

出典)古谷健夫:『問題解決の実践』(日科技連出版社,2018年),表5.3

NPO法人の場合

*役員、理事全員の組織に対する思いや考えを見える化したことで、組織のビジョンをまとめあげることができた。これにより、事業のミッション、ビジョンも明確となり、市民にとって有益な事業を、自信を持って展開できるようになった。

1 実施者

NPO法人の幹部職員

2 組織概要

設立から約30年となるNPO法人

3 テーマ

環境変化に対応できる事業運営の仕組みづくり

4 問題解決ステップ概要

■テーマ選定

事業をやることが目的となり、何のために何をすべきかが見直されてこなかった。こうした成り行き任せの体質からの脱皮を図る。

​■現状把握

公益目的事業の長年の取り組みのなかで、「事業内容が大きなテーマ設定であるため何をなすべきか不透明」「やることが当たり前となり、何となくやる体質」「市民の役に立っているのか、不透明・不安」という状況となり、成り行き任せの体質が組織のメタボ化を引き起こしていた。

​■目標設定

事業目的を再整理し、市民に有益な事業を提供することで、事業の活性化を図る。成り行き任せの体質からの脱却。

​■要因解析

「私たちは何を目指し、何に取り組まなければならないのか」について、財団としての見解が不明確であった。このため事業目的も明確になっておらず、市民の認知度も低かった。

​■対策立案・対策実施・効果確認

理事や評議員などとの面談をとおして、一人ひとりの思いや考えを見える化した。その結果、『「ふるさとをつくる」人づくり』という組織のビジョンをまとめあげた。

これに基づいて事業の目的を明確にした。市民への広報も充実させている。

​■標準化と管理の定着

対策内容の展開はまだ道半ばであるが、組織の果たすべき社会的役割が再認識できた。これにより事業のミッションやゴールが整理され、大きな「自信」が得られた。今後とも、環境変化に伴って組織の役割を見直していく。

出典)古谷健夫:病院,NPO,行政など,サービス分野における問題解決の実践(品質月間テキストNo.441 2019年10月)

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